Custom Yacht Project
ー カスタムヨットプロジェクトー




セール

シングルハンド想定ですから、オリジナルセールプランとは違って、上記図面の様にしました。
ジブはセルフタッキングとし、バウスプリットにタックを取ります。これでセール面積を稼げます。
その先に、コードゼロかジェネカーのファーリングを設置、メインはブームファーラーです。


この時のセール素材ですが、ダクロンでは無く、スぺクトラ素材のセール、何故なら、ダクロン
は伸びやすいので、将来的に、メインがファーリング方式の為、セールが伸びた時に、綺麗に
巻けなくなる可能性を考慮しています。それに、セーリング性能を考えても、伸びにくいセール
はパフォーマンスが全然違ってきます。実は、このセール、ノーブランドなのです。造船所の推
奨するセールメーカーに造ってもらいます。セールメーカーもいろいろなんですね。


ファーリングブームは当初はLeasure Furl というブランドを予定していましたが、このシス
テムでは、巻き取りの軸がマストを貫通し、ファーリングドラムがマストの前側に設置されます。
これが美しくない。とのオーナーの指摘で、Furlerboom というブランドに変更しました。
このシステムではブーム先端にエンドレスライン用のドラムが付きます。よって、殆ど目立た
ない隠れた位置で、ドラムは薄く綺麗に収まります。



Leisure Furl(ドラムがマスト前に設置)



今回採用のFurlerboom


さて、お気づきかもしれませんが、メインシートの位置がキャビントップに変更されています。
オリジナルはブームエンドからのリードでした。しかし、これではコクピットをカバーするビミニ
トップを設置できません。日本の最近の夏の日差しの強さを考えれば、ここはどうしてもフル
にカバーできるビミニが欲しい。



こんな感じの大きなビミニ、もちろん折り畳みできます。


と言う事で、メインシートの位置を前側に変更する事にしました。しかし、これは言葉で言う
程簡単な話ではありません。デザイナーに相談した処、せめてブームの中央辺り、そうする
と、キャビン入り口にトラベラーがかかる為、設置ができない。そこで、キャビン入り口の天
井側をコクピットから少し手前迄に短くして、そうすると、キャビンに入る時の出入りのし易さ
を考えると、キャビンに入るステップを、これまた少し後部側へ移動する必要がある。これは
コクピットの広さを短くしない事が前提です。幸い。ステップの最上段が長く取ってあったので
、最上段を少し短く、それでも充分なスペースです。これでステップが後部側に移動、また、
エンジンも約20cm後部側へ移動させています。もちろん、デザイナーと相談の上、無理の
無い範囲の事です。ひとつ何かを移動させるだけで、いろんな箇所に影響してきます。





さて、これで、メインシートトラベラーを前側に移動させる事に決まりました。これに伴い、ブーム
にかかるストレスはより大きくなりますから、ブームを強化してもらっています。たま〜にですが、
強風時にブームが折れるなんて事もあります。シートを前側で引くと、よりブームにストレスがか
かりますから、同じセール面積でも、ブームエンドからメインシートを取るよりも、中央から取る方
がよりブームを強くしていなければなりません。


次は、操作面です。シートが前側では、ヘルムからは手が届かない。よって、メインシートとトラ
ベラーのコントロールシートをコクピット後部側のウィンチにリードするようデザインしてもらいま
す。この時、トラベラーコントロールは電動式(下図)にという手もありましたが、結果的には、各
シートを、後部の電動ウィンチでコントロールするという事にしました。


 
電動トラベラーコントロール(トラベラーを電動で左右に動かせる)



シートもトラベラーコントロールも後部ウィンチへリード(採用)


これでヘルム位置から、シートもトラベラーコントロールも手が届きます。ウィンチは当然
電動です。しかも、左右のウィンチのどちらからでもコントロールが可能です。そして、ジブ
シートはセルフタッキングですから1本、これもヘルム近くの電動ウィンチにリードしていま
す。電動ウィンチは全部で4個、当初、ジブハリヤードは、一旦セールを上げれば、その後
使う事はあまりないので、マスト設置ウィンチのアイデアもありましたが、結果的には、全
て、コクピットのヘルム位置からセールの上げ下げを含めて、全部コントロールできるよう
にしています。が、ひとつだけ、ジブセールはやはり一旦上げてしまえば、殆ど不要、その
使わない、しかも長いハリヤードがコクピットに遊ぶ事になります。これは、他のシート類も
ある中で邪魔にもなります。できれば外したい。


ハリヤードテンショナーというのがあります。マスト前側にレールを設置して、ブロックが上下
に動き、任意の位置で固定できるものです。ブロックの上側はジブハリ、下側からも別のハリ
ヤードでウィンチから引きます。テンションを掛けて、その位置でブロックを固定します。する
と、下側のウィンチから引いたハリヤードは外す事ができる。もはや、コクピットの邪魔にもな
りません。必要な時は、取り出して、同じように下から引くなり、或はセールを下すなりの時に
また使う事ができます。これは良いですね。





その他、ブームバングとバックステーアジャスターは油圧式、これもヘルムポジションから
コントロール、ヘルム左右の電動ウィンチに他の全てコントロールシートをリードしていま
す。それから、電動ウィンドラスはチェーンとロープの両方使えるタイプ、そして、さらに、
シングルですから、バウスラスターを設置する事にしました。これはトンネル式を最初は
要望しましたが、バウ側の船底の水線から下が浅いとの事で、トンネル式ですと、より後
部側での設置となり、こうなると効果的では無いという事で、リトラクタブルを採用してい
ます。コントロールはもちろんヘルムポジションです。



右側タイプを採用(チェーン部はロープも引けます)



リトラクタブルバウスラスター


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